すぐに思い出せる脳とど忘れの多い脳
最近は若い人にど忘れや、物忘れが増えてきたなどと言われていますが、実際には、それを科学的に証明できるようなデータはありません。
ただ、インターネットやスマホの影響で単純な記憶は機械任せになり一旦記憶したことを想起する必要があまりない社会になっていることは確かです。
アルツハイマー型認知症のごく初期の段階に、物忘れが多くなるという症状があります。
すぐに思い出せる脳とど忘れの多い脳
ただし、すぐに思い出せずに「あれ」とか「それ」という代名詞で表現してしまう、いわゆる「ど忘れ」は、病気とは別に、加齢などの影響でも起こることです。
この「ど忘れ」とアルツハイマー型認知症の初期症状である、「物忘れ」の区別はなかなか難しいのです。
一旦覚えたことを思い出すことを「想起」と言いますが、脳の場所でいうと視床と乳頭体というところが関係しています。
さらに前脳基底部も強く関わっています。
ここには神経伝達物質である、アセチルコリンに関係するニューロンが多く存在しています。
前脳基底部から海馬、視床への連絡路があって、思い出すという行為をします。
アルツハイマー型認知症になると、アセチルコリンが減少することがわかっています。
物忘れがボケの始まりと言われるのは、このアセチルコリンの減少が影響している可能性があります。
特に視床、海馬、前脳基底部での連携機能が低下しているとみられています。
物事を思い出すには、脳にばらまかれたいくつかの記憶を、かき集めてネットワークの道筋をつけ、1つのエピソードとして想起しているのです。
そのネットワークも長く使っていなければ、思い出すことができなくなってしまいます。
高齢になっても現役で仕事をしていれば、新しいことへの好奇心や言葉を使う頻度も多いので、常に新しい記憶のルートが作られ、それを使うことによってさらに強化されるのです。
物忘れしない脳は、やはり普段から積極的に使っている脳ということになりますね。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。参考になれば幸いです!
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