お腹が空けば記憶力が高まる
「脳を鍛えるにはどうしたら良いのか・・」
「記憶力をもっと高めたいのだけれど・・」
結局は努力あるのみなのですが、さらに言えば、目的を達成しようというハングリー精神や、何にでも興味を持つ好奇心が重要なようです。
その一方で、脳の特徴を理解することで見えてくる学習のコツがあるのも事実です。
例えば危機的な状況にあると、注意力や記憶力が促進されます。
これは脳に備わった普遍的な性質です。
お腹が空けば記憶力が高まる
私たちは、人である前に動物です。
長い進化の過程で少しずつ現在の形へと変化してきました。
動物たちは、大自然の中で常に危機にさらされています。
それを効率よく回避するためには、敵に遭遇した状況や獲物にありつけない道をきちんと記憶しておく必要があります。
ヒトの脳にもこうした性質が残されているため、危機感を脳に呼び起こせば記憶力が高まる傾向があります。
空腹もまた生物にとっては危機です。
栄養を摂取できるか否かは直接、命に関わります。
イエール大学のホーバス博士は、空腹と脳の関係を決定づけるグレリンという生体物質の実験結果を発表しました。
グレリンは胃が空っぽのときに放出される消化管ホルモンです。
腹が空くと、胃から脳にグレリンが血流に乗って届けられます。
例えば「視床下部」という脳部位にグレリンが作用すると食欲が増進します。
ホーバス博士は、学習に必須な脳部位である、「海馬」にもグレリンが強く作用することを発見しました。
グレリンが海馬に届くとシナプス(神経細胞と神経細胞を繋ぐ接合部)の数が30%も増え、シナプス活動の変化率が増大します。
グレリンを投与したネズミでは迷路を解く能力が高まります。
逆に、グレリン遺伝子の働かないネズミでは、空腹信号が海馬に届かないため、シナプス数が正常よりも25%ほど減ってしまい、結果として記憶力も低下しました。
こうして見ていくと、栄養は体に必要だとは言え、食べ過ぎは必ずしも脳にとってよくないことがわかります。
暖衣飽食の現代では「腹八分に医者いらず」の心意気をむしろ尊重したいですね。
これらのことから、海馬を鍛えるのは文字通り「ハングリー精神」なのです。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。参考になれば幸いです!
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